協議項目:Evidence-based Volleyball

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バレーボール用語

   Evidence-based Volleyball(EBV)    -- 該当する英語なし --   




現時点で利用可能な、統計学的に最も信頼できる情報に基づいて、バレーボールをプレーないしは指導すること

 「エビデンス(Evidence)」とは、理論的に導かれる原理原則や、これまでずっとこうしてきたという経験則ではなく、設定した目標を達成することが統計学的に証明された、という意味です。

 医療の世界ではすでに、過去の経験則に基づいた診療ではなく、「エビデンス」に基づいた診療、すなわちEvidence-based Medicine(EBM)が、広く浸透しています。

 バレーボールにおいても、実績のある元選手や指導者が勧めているから良いという、根拠のあいまいな考え方はやめて、その効果をデータで検証し、勝率を高めることが統計学的に確認されたものを導入すべきではないか? というのが、Evidence-based Volleyball(EBV)です。


 たとえば、バレーボールのゲームにおいて、一般的には「サーブ・レシーブ成功率が高いほど、レセプション・アタック決定率(ないしは効果率)が高くなる」というのが常識と考えられてきましたが、それを統計学的に確認してみるとこのような結果が出ます。


アタック×レセプション 図.jpg アタック×レセプション 表.jpg


 この結果を基にして、ゲームに勝つためにどうプレーすべきか? もしくはどう指導すべきか? を考えていく行動指針となるのが、Evidence-based Volleyballです。この結果を重視すれば、サーブ・レシーブ成功率を高めるための練習(それはすなわち、相手にサービス・エースで得点されないこと、を意味します)も必要でしょうけれど、より重要なのは、たとえサーブ・レシーブが想定どおりに返球されなかった場合でも、いかにしてアタック決定率・効果率を高めるか? そのための具体案を考えてプレーする、あるいは練習させることが必要なはずです。

 その具体案の1例が、【スロットの概念】の導入です。


 それと同時に、上記の「レセプションとアタックの関係」についての検証には、問題点がもちろん存在します。具体的には、上記にある「アタック」とは「レセプション・アタック」と「トランジション・アタック」の両者の総和であり、より精度の高い検証を行うには「サーブ・レシーブ成功率」と「レセプション・アタック決定率(ないしは効果率)」との関係を調べる作業が当然必要になります。そうやって、検証作業は常に批判にさらされることによって、より信頼できるエビデンスを構築し続けていくことが要求されます。

 その作業の1例が、「協議項目:レセプションとアタックの関係」です。


 こうして、批判的検証を繰り返し行い、2015年の時点で最も信頼度の高いエビデンスとして、日本バレーボール学会の研究機関誌『バレーボール研究』第17巻(2015年6月)に原著論文としてアクセプトされたものが、[[1]]です。

参考文献