「固定項目:コート・エンド観戦のすすめ(COLUMN)」の版間の差分
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+ | コートに立つ競技者は、ネット越しに相手を見て戦いますから、'''コート・エンド視点は競技者視点に近く'''、だからこそ、技術や戦術に求められるさまざまなことが見えてきます。それぞれのチームが何をしようと考えているのか…選手が何をしなくてはいけないのか…ゲーム全体を見ようとすれば、テニスや卓球などと同様、コート・エンド側からの視点が必然となってきます。ですから、バレー会場でも各チームの偵察用カメラはコート・エンドに並んでいるのです。 | ||
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最近はテレビ中継でも戦術系ファンの要望に応えようと、コート・エンドからのリプレイ映像が多くなってきました。戦術的視点に長けた解説者をコート・エンドに置く試みも見られます。しかし残念ながら、テレビ中継では得点シーンのリプレイは出ても、決まらなかったシーンが取り上げられることはほとんどありません。なぜうまくいかないのか…何をやれば効果的なのか…バレーペディアをお読みいただいたみなさまなら、そういう観点でバレーボールを楽しみたいのではないでしょうか。 | 最近はテレビ中継でも戦術系ファンの要望に応えようと、コート・エンドからのリプレイ映像が多くなってきました。戦術的視点に長けた解説者をコート・エンドに置く試みも見られます。しかし残念ながら、テレビ中継では得点シーンのリプレイは出ても、決まらなかったシーンが取り上げられることはほとんどありません。なぜうまくいかないのか…何をやれば効果的なのか…バレーペディアをお読みいただいたみなさまなら、そういう観点でバレーボールを楽しみたいのではないでしょうか。 | ||
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− | + | コート・エンド・カメラ中心のテレビ中継がすぐには無理な現状では、'''手っ取り早いのは会場観戦です'''。幸運なことに、テレビ中継で見慣れたコート・サイド席のほうが人気は高いため、コート・エンド席は料金がお安く設定されているケースがほとんどです。 | |
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== コート・エンド席のどのあたりが見やすいのか == | == コート・エンド席のどのあたりが見やすいのか == | ||
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ついつい前のほうがよく見えると考えがちですが、席に座ると視線は背の高いバレー選手の腰くらいの高さになります。最前列のあまり低い位置から見ると、手前のコートの選手によって、奥のコートの選手の動きが全く見えなくなってしまうのです。 | ついつい前のほうがよく見えると考えがちですが、席に座ると視線は背の高いバレー選手の腰くらいの高さになります。最前列のあまり低い位置から見ると、手前のコートの選手によって、奥のコートの選手の動きが全く見えなくなってしまうのです。 | ||
− | + | '''コート・エンドに2階席があるのならば、迷わず2階席へ'''。そのほうが料金もお安いですし、奥のコートまでしっかり見えます。コートまでの距離が近いアリーナ・エンドを選ぶのであれば、'''座席が雛段状になっているのを確認した上で、最後列付近'''を選びましょう。 | |
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少し慣れてきたら、手前のコートでレセプション時に交わされるサインを見てみましょう。レシーブが安定しているのに単調な攻撃しか繰り出さないチームだと、サインが読み取れることもありますよ。 | 少し慣れてきたら、手前のコートでレセプション時に交わされるサインを見てみましょう。レシーブが安定しているのに単調な攻撃しか繰り出さないチームだと、サインが読み取れることもありますよ。 | ||
− | + | 是非見ていただきたいのが、'''サーブの軌道と変化'''です。フローター系のサーブが揺れたりスライドしたりする様子や、ドライブ系のサーブでもサイド・スピンがかかった様子などがはっきりとわかります。球筋を見極めて素早く移動し、落下点で待っているレシーバーに惚れてしまうこと請け合いです。 | |
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+ | '''セッターのセット軌道'''も、コート・エンド観戦ではとてもよくわかります。アタッカーが最高到達点で打てているか…ボールが流れていないか…アタッカーの空中姿勢もよく見えますので、アタッカーの持ち味を最大限に生かす『セット』が行われているかどうか見極めるには、コート・エンド観戦が一番です。もしかしたら、コート・サイドから見ていた頃とは、あなたのセッターの評価が激変するかもしれませんよ。 | ||
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+ | そして何といっても最大の醍醐味は、'''スパイクとブロックの攻防'''です。ブロッカーの配置や反応の仕方を見ながら、自分がセッターならどこにセットするかを考えながら見ると面白いでしょう。「レフト!レフト!」と叫んでみて、実際にレフトにセットが上がってスパイクが決まると、自分がアタッカーやセッターと一体になったような快感が味わえます。また、奥のコートからスパイクが打たれる際には、手前のチームのブロックとディグの連係(トータル・ディフェンス)がよくわかります。 | ||
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2015年10月20日 (火) 14:32時点における最新版
バレーボール記事
コート・エンド観戦のすすめ(COLUMN) |
バレーペディア編集室 (バレーペディア編集室)
初版のバレーペディアを手に会場に足を運んでくださったみなさま、どうもありがとうございました。
今回はバレーペディアをご愛顧いただいているみなさまがたに、会場でのバレーボール観戦を一層楽しんでいただこうと、ひとつご提案させていただきます。
テレビのバレーボール中継は、両チームをネットで左右に分けるような映像が中心で、これはコート・サイドからの会場観戦と同じ視点です。実は、ネットを使ったスポーツのほとんどはコート・エンド側からの映像で中継されており、バレーボールのようにコート・サイド側から中継される競技は珍しいのです。
コートに立つ競技者は、ネット越しに相手を見て戦いますから、コート・エンド視点は競技者視点に近く、だからこそ、技術や戦術に求められるさまざまなことが見えてきます。それぞれのチームが何をしようと考えているのか…選手が何をしなくてはいけないのか…ゲーム全体を見ようとすれば、テニスや卓球などと同様、コート・エンド側からの視点が必然となってきます。ですから、バレー会場でも各チームの偵察用カメラはコート・エンドに並んでいるのです。
最近はテレビ中継でも戦術系ファンの要望に応えようと、コート・エンドからのリプレイ映像が多くなってきました。戦術的視点に長けた解説者をコート・エンドに置く試みも見られます。しかし残念ながら、テレビ中継では得点シーンのリプレイは出ても、決まらなかったシーンが取り上げられることはほとんどありません。なぜうまくいかないのか…何をやれば効果的なのか…バレーペディアをお読みいただいたみなさまなら、そういう観点でバレーボールを楽しみたいのではないでしょうか。
コート・エンド・カメラ中心のテレビ中継がすぐには無理な現状では、手っ取り早いのは会場観戦です。幸運なことに、テレビ中継で見慣れたコート・サイド席のほうが人気は高いため、コート・エンド席は料金がお安く設定されているケースがほとんどです。
よし、コート・エンド席に行こう!
コート・エンド席のどのあたりが見やすいのか
ついつい前のほうがよく見えると考えがちですが、席に座ると視線は背の高いバレー選手の腰くらいの高さになります。最前列のあまり低い位置から見ると、手前のコートの選手によって、奥のコートの選手の動きが全く見えなくなってしまうのです。
コート・エンドに2階席があるのならば、迷わず2階席へ。そのほうが料金もお安いですし、奥のコートまでしっかり見えます。コートまでの距離が近いアリーナ・エンドを選ぶのであれば、座席が雛段状になっているのを確認した上で、最後列付近を選びましょう。
コート・エンド席の楽しみ方
まずは気軽に、奥のコートからサーブが打たれる際のミドル・ブロッカーのフォームを見比べてみましょう。両手を大きく上げて威圧感を漂わせる選手。スパイク・サーブが後頭部に直撃するのを警戒して、手で頭をガードしている選手。相手のレセプション・アタックを予想して、指差し確認をしている選手。サイド・ブロッカーと小声で話して何かを企んでいる選手。本当にいろいろなことをやっているのが見えてきます。
少し慣れてきたら、手前のコートでレセプション時に交わされるサインを見てみましょう。レシーブが安定しているのに単調な攻撃しか繰り出さないチームだと、サインが読み取れることもありますよ。
是非見ていただきたいのが、サーブの軌道と変化です。フローター系のサーブが揺れたりスライドしたりする様子や、ドライブ系のサーブでもサイド・スピンがかかった様子などがはっきりとわかります。球筋を見極めて素早く移動し、落下点で待っているレシーバーに惚れてしまうこと請け合いです。
セッターのセット軌道も、コート・エンド観戦ではとてもよくわかります。アタッカーが最高到達点で打てているか…ボールが流れていないか…アタッカーの空中姿勢もよく見えますので、アタッカーの持ち味を最大限に生かす『セット』が行われているかどうか見極めるには、コート・エンド観戦が一番です。もしかしたら、コート・サイドから見ていた頃とは、あなたのセッターの評価が激変するかもしれませんよ。
そして何といっても最大の醍醐味は、スパイクとブロックの攻防です。ブロッカーの配置や反応の仕方を見ながら、自分がセッターならどこにセットするかを考えながら見ると面白いでしょう。「レフト!レフト!」と叫んでみて、実際にレフトにセットが上がってスパイクが決まると、自分がアタッカーやセッターと一体になったような快感が味わえます。また、奥のコートからスパイクが打たれる際には、手前のチームのブロックとディグの連係(トータル・ディフェンス)がよくわかります。
コート・エンド観戦、いかがでしょう。解説がなければ、なんだか難しそうだなと思った方もいらっしゃるかもしれませんね。でも1つだけ思い出してみてください。今あなたが手にしてらっしゃる本、これを持って行けば、解説者がいなくてもコート・エンド観戦が存分に楽しめます。
さあ、バレーペディアを持って、コート・エンドに行ってみましょう!