「固定項目:スロット」の版間の差分

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呼称するためにどのように数字や記号を当てはめるかについては、様々な方法が考えられますが、この本では「セリンジャーのパワーバレーボール」(ベースボール・マガジン社)で紹介された方法に従って解説します。
 
呼称するためにどのように数字や記号を当てはめるかについては、様々な方法が考えられますが、この本では「セリンジャーのパワーバレーボール」(ベースボール・マガジン社)で紹介された方法に従って解説します。
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セッターの定位置をスロット0とし、そこからレフト側には1m刻みにスロット1~5を設定し、ライト側には同じく1m刻みにスロットA~Cを設定します。
 
セッターの定位置をスロット0とし、そこからレフト側には1m刻みにスロット1~5を設定し、ライト側には同じく1m刻みにスロットA~Cを設定します。
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例えば、レフトからのオープン攻撃はスロット5の位置からサード・テンポ(テンポ3)の助走動作を行って繰り出すアタックであり、スロット位置を表す「5」と助走テン
 
例えば、レフトからのオープン攻撃はスロット5の位置からサード・テンポ(テンポ3)の助走動作を行って繰り出すアタックであり、スロット位置を表す「5」と助走テン
 
ポを表す「3」を用いて「53(攻撃)」と呼称することが可能です。
 
ポを表す「3」を用いて「53(攻撃)」と呼称することが可能です。
 
同様に、ライトからのオーブン攻撃は「C3」と呼称できます。
 
同様に、ライトからのオーブン攻撃は「C3」と呼称できます。
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また、スロットは図のようにネット際からアタック・ラインまでを含む空間であるため、バック・アタックにも適用できます。
 
また、スロットは図のようにネット際からアタック・ラインまでを含む空間であるため、バック・アタックにも適用できます。
 
「パイプ攻撃」と呼ばれる、セッター位置に近接するスロット(主としてスロット1)からのセ
 
「パイプ攻撃」と呼ばれる、セッター位置に近接するスロット(主としてスロット1)からのセ
 
カンド・テンポのバック・アタックは「12」、「ビック(bick)」と呼ばれる、同じくセッター位置に近接するスロットからのファースト・テンポのバック・アタックは「11」「31」「A1」などと表現できます。
 
カンド・テンポのバック・アタックは「12」、「ビック(bick)」と呼ばれる、同じくセッター位置に近接するスロットからのファースト・テンポのバック・アタックは「11」「31」「A1」などと表現できます。
 
このように、ボールをヒットするスロット位置と助走動作のテンポの視点からアタックを眺めることができるようになると、例えば同じ「11」と表現できる、前衛アタッカーが打つAクイックと後衛アタッカーが打つビック(bick)は、打つ手順に何の違いもないという本質も見えてきます。
 
このように、ボールをヒットするスロット位置と助走動作のテンポの視点からアタックを眺めることができるようになると、例えば同じ「11」と表現できる、前衛アタッカーが打つAクイックと後衛アタッカーが打つビック(bick)は、打つ手順に何の違いもないという本質も見えてきます。
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スロットの概念が浸透している海外とそうでない日本とでは、サーブ・レシーブの返球目標位置に対する考え方に象徴的な違いがみられます。
 
スロットの概念が浸透している海外とそうでない日本とでは、サーブ・レシーブの返球目標位置に対する考え方に象徴的な違いがみられます。
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日本では、セッターの定位置を「セッターのコート上での立ち位置(=点)として」とらえるため、サーブ・レシーブの返球位置がネット際からアタック・ライン付近に近づくにつれ、当初のサインどおりのアタック戦術を
 
日本では、セッターの定位置を「セッターのコート上での立ち位置(=点)として」とらえるため、サーブ・レシーブの返球位置がネット際からアタック・ライン付近に近づくにつれ、当初のサインどおりのアタック戦術を
 
繰り出すことが困難になります。
 
繰り出すことが困難になります。
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一方海外では、セッターの定位置を「スロット0(=空間)として」とらえるため、サーブ・レシーブの返球位置はアタック・ライン付近でも構わないことになります。
 
一方海外では、セッターの定位置を「スロット0(=空間)として」とらえるため、サーブ・レシーブの返球位置はアタック・ライン付近でも構わないことになります。

2014年8月5日 (火) 22:35時点における版

バレーボール用語

   スロット    -- SLOT --   




ネットに平行な水平座標軸を設定して1m刻みにコートを9分割し、数字や記号を用いて呼称するコート上の空間位置。主として、アタッカーがボール・ヒットする位置を呼称するのに用いられる


呼称するためにどのように数字や記号を当てはめるかについては、様々な方法が考えられますが、この本では「セリンジャーのパワーバレーボール」(ベースボール・マガジン社)で紹介された方法に従って解説します。

セッターの定位置をスロット0とし、そこからレフト側には1m刻みにスロット1~5を設定し、ライト側には同じく1m刻みにスロットA~Cを設定します。

例えば、レフトからのオープン攻撃はスロット5の位置からサード・テンポ(テンポ3)の助走動作を行って繰り出すアタックであり、スロット位置を表す「5」と助走テン ポを表す「3」を用いて「53(攻撃)」と呼称することが可能です。 同様に、ライトからのオーブン攻撃は「C3」と呼称できます。

また、スロットは図のようにネット際からアタック・ラインまでを含む空間であるため、バック・アタックにも適用できます。 「パイプ攻撃」と呼ばれる、セッター位置に近接するスロット(主としてスロット1)からのセ カンド・テンポのバック・アタックは「12」、「ビック(bick)」と呼ばれる、同じくセッター位置に近接するスロットからのファースト・テンポのバック・アタックは「11」「31」「A1」などと表現できます。 このように、ボールをヒットするスロット位置と助走動作のテンポの視点からアタックを眺めることができるようになると、例えば同じ「11」と表現できる、前衛アタッカーが打つAクイックと後衛アタッカーが打つビック(bick)は、打つ手順に何の違いもないという本質も見えてきます。

スロットの概念が浸透している海外とそうでない日本とでは、サーブ・レシーブの返球目標位置に対する考え方に象徴的な違いがみられます。

日本では、セッターの定位置を「セッターのコート上での立ち位置(=点)として」とらえるため、サーブ・レシーブの返球位置がネット際からアタック・ライン付近に近づくにつれ、当初のサインどおりのアタック戦術を 繰り出すことが困難になります。

一方海外では、セッターの定位置を「スロット0(=空間)として」とらえるため、サーブ・レシーブの返球位置はアタック・ライン付近でも構わないことになります。