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2014年8月5日 (火) 22:36時点におけるKatsutaro tegawa (トーク | 投稿記録)による版

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バレーボール用語

   テンポ    -- TEMPO --   




セット・アップを基準とした時間軸の中で、アタッカーの助走動作がどのタイミングで行われるかを呼称する区分方法

初版では、テンポを「セット・アップからボール・ヒットまでの時間の長さ」と定義しました。 その定義は必ずしも間違いではありませんが、「時間の長さ」の観点に縛られるとテンポの本質を見失います。

テンポとは本来、アタッカーの助走動作がどのようなタイミングで行われるかを表しており、助走動作がセット・アップより前に行われるものをファースト・テンポ(テンポ1)、セット・アッブと平行して行われるものをセカンド・テンポ(テンポ2)、セット・アップより後に行われるものをサード・テンポ(テンポ3)と呼びます。 一般的には、助走動作を開始するタイミングが早いほど「セット・アップからボール・ヒットまでの時間」は短くなりますが、ファースト・テンポ、セカンド・テンポ、サード・テンポの違いは「時間の長さ」ではなく、ア タックをどうやって繰り出すかの「コンセプト」の違いです。

初心者段階においては、セッターとアタッカーのタイミング調整が技術的に難しいため、オープン攻撃に代表されるサード・テンポが多用されます。 サード・テンポは、セッターが十分に高い軌道のセットを先に上げておくことで、アタッカーが十分な体勢を 整えた上で自身のタイミングで助走を開始できるだけの時間的余裕をもたせる方法であり、セッターとアタッカーのどちらが主導権を握るわけでもありません。 サード・テンポを用いれば、試合中のどんな状況においても、高い確率でアタッカーの持ち味を最大限に発揮させることが可能となる一方で、相手のブロッカーやディガーにとっても時間的余裕を与えてしまうことになります。 ですから、競技レベルが上がるにつれて、別のコンセプトに基づいたアタック戦術が要求されるようになります。 1つの方法はアタッカーが主導権を握る方法であり、アタッカーが先に助走動作を行い、それにセット軌道を合わせます。 もう1つはセッターが主導権を握る方法で、セッターが上げるセット軌道に合わせてアタッカーが助走動作を行います。 前者がファースト・テンポで、後者がセカンド・テンポです。

ところが、テンポを「時間の長さ」の観点だけでとらえてしまうと、セッターが主導権を握ってセット軌道に合わせてアタッカーが助走するコンセプトであっても、セットするボールのスピードや軌道の高低を工夫して「セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間」を短縮できさえすれば、ファースト・テンポが達成できる、という誤解につながります。 「セット・アップからボール・ヒットまでの経過時間」をストップウォッチで計測しながらスパイク練習をす るシーンがよく見られますが、これは、攻撃の起点であり主導権を握るのはセッターであるという固定観念に縛られた、日本のバレー界で陥りやすい方法です。 ファースト・テンポとセカンド・テンポの違いは「時間の長さ」ではなく、「アタッカーとセッターのどちらが主導権を握るか」の違いである、という真実を理解することが、テンポの本質を理解するためのカギとなります。

なお、アタッカーの助走動作のタイミングをさらに細かく区分し、踏み切り動作のタイミングによって(広義の)ファースト・テンポ(テンポ1)をさらに2つに区分する考え方もあり、その場合、セット・アップより前に踏み切り動作を完了するものをマイナス・テンポ(テンポO)、完了しないものを狭義のファースト・テンポ(テンポ1)と呼びます。