固定項目:マイナス・テンポ(テンポ0)

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バレーボール用語

   マイナス・テンポ(テンポ0)    -- MINUS TEMPO(TEMPO 0) --   




ファースト・テンポの中で、アタッカーの踏み切り動作がセット・アップのタイミングにおいてほぼ完了しているアタック


 セット・アップを基準とした時間軸の中で、アタッカーの助走動作が行われるタイミングを呼び分けるのが「テンポ」ですが、同じ時間軸の中で、アタッカーの踏み切り動作が行われるタイミングに注目し、(広義の)ファースト・テンポをさらに2種類に区分する考え方があります。その場合、踏み切り動作がセット・アップの瞬間にほぼ完了しているものをマイナス・テンポと呼び、完了していないものを狭義のファースト・テンポと呼びます。

 今から約20年前には既に、個人技によるアタック戦術として確立していた(広義の)ファースト・テンポですが、組織的なアタック戦術として世界標準となったのはそれから10年以上も後の、2000年代中盤に入ってからのことです。1990年代後半に、バンチ・リード・ブロック・システムに代表される組織的なリード・ブロック戦術が世界標準になると、それに対抗するアタック戦術も組織化の必要性に迫られ、そこで注目を浴びたのがファースト・テンポでした。リード・ブロックの動作起点がセット・アップにあることから、動作起点がセット・アップよりも前にあるファースト・テンポは「リード・ブロックに効果を発揮する」可能性を秘めていました。つまりファースト・テンポに「リード・ブロック戦術に対して効果的な」という価値観が、新たに付け加わったのです。

 リード・ブロックで対応するブロッカーの動作起点はセット・アップにあるため、セット・アップのタイミングを目安にアタッカーが踏み切り動作を行えば、ブロッカーよりも「相対的に早いタイミングで」踏み切ることが常に可能であり(ファースト・テンポは “はやい攻撃” なのか!?(詳細解説)参照)、この助走動作を狭義のファースト・テンポと呼びます。このとき、セッターに要求されるセット方法がインダイレクト・デリバリー法です。


 一方、アタッカーの踏み切り動作が「早ければ早いほどよい」という考え方もあり、これに従うと、セット・アップの瞬間にアタッカーは踏み切り動作を完了して空中でボールを待っているのが理想とみなされます。この場合セット・アップを基準とした時間軸の中で踏み切り動作が基準(ゼロ)より前にあることから、マイナス・テンポ(ないしはテンポ0)と呼ばれます。マイナス・テンポで助走する場合、アタッカーには「少しでも早いタイミングでボールをヒットしなければならない」という意識が働き、セッターには空中にすでにいるアタッカーの最高到達点に「少しでも速くボールを供給しなければならない」という意識が働きやすく、ダイレクト・デリバリー法が選択されがちです。