「固定項目:ビック」の版間の差分

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“bick”とは “back row quick” の略であり、「後衛のアタッカーが打つ “quick”」の意味です。日本と違って、[[固定項目:スロット|スロット]]と[[固定項目:テンポ|テンポ]]の概念が浸透している海外では “quick” は、セッター位置に近接する[[固定項目:スロット|スロット]]から打つ[[固定項目:ファースト・テンポ(テンポ1)|ファースト・テンポ]]を意味します。
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 〝bick〟とは〝back row quick〟の略であり、「後衛のアタッカーが打つ〝quick〟」の意味です。日本と違って、[[固定項目:スロット|スロット]]と[[固定項目:テンポ|テンポ]]の概念が浸透している海外では〝quick〟は、セッター位置に近接する[[固定項目:スロット|スロット]]から打つ[[固定項目:ファースト・テンポ(テンポ1)|ファースト・テンポ]]を意味します。
  
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 セッター位置に近接する[[固定項目:スロット|スロット]]から打つ[[固定項目:ファースト・テンポ(テンポ1)|ファースト・テンポ]]の[[固定項目:バック・アタック|バック・アタック]]も、それ自体が登場したのは意外に古くにさかのぼり、遅くとも1988年のソウル・オリンピックでオランダ男子ナショナル・チームのズヴェルヘル選手が披露しています。しかし当時はまだ、ブロック戦術としては[[固定項目:コミット・ブロック|コミット・ブロック]]が主流であったため、[[固定項目:時間差攻撃|時間差攻撃]]である[[固定項目:パイプ攻撃|パイプ攻撃]]の方がアタック戦術として理にかなっており、[[固定項目:パイプ攻撃|パイプ攻撃]]が世界標準戦術となりました。
  
ところが、1990年代後半にパンチ・リード・ブロック・システムに代表される組織的な[[固定項目:リード・ブロック|リード・ブロック]]戦術が世界標準になると、[[固定項目:パイプ攻撃|パイプ攻撃]]に対しても2~3枚のブロック参加が可能となったため、アタック戦術もさらなる組織化の必要性に迫られました。そこに白羽の矢が立ったのが、既に個人技術としては確立しながら日の目を見なかった、[[固定項目:ファースト・テンポ(テンポ1)|ファースト・テンポ]]の[[固定項目:バック・アタック|バック・アタック]]でした。2000年代前半にブラジル男子ナショナル・チームが、[[固定項目:セット・アップ|セット・アップ]]のタイミングを目安に踏み切り動作を行う狭義のファースト・テンポの[[固定項目:バック・アタック|バック・アタック]]を、「[[固定項目:速攻|速攻]]の[[固定項目:おとり|おとり]]に入る前衛のアタッカーとは別の[[固定項目:スロット|スロット]]から」繰り出すことで、組織的に対応してくる相手のブロッカー陣に対しても効果を発揮することを可能にしたのです。
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'''関連語''':[[固定項目:ダブル・クイック|ダブル・クイック]]、[[固定項目:パイプ攻撃|パイプ攻撃]]
 
'''関連語''':[[固定項目:ダブル・クイック|ダブル・クイック]]、[[固定項目:パイプ攻撃|パイプ攻撃]]

2014年10月1日 (水) 22:23時点における最新版

バレーボール用語

   ビック(bick)    -- BIC, BICK --   




セッター位置に近接するスロットから打つ(狭義の)ファースト・テンポのバック・アタック


 〝bick〟とは〝back row quick〟の略であり、「後衛のアタッカーが打つ〝quick〟」の意味です。日本と違って、スロットテンポの概念が浸透している海外では〝quick〟は、セッター位置に近接するスロットから打つファースト・テンポを意味します。

 セッター位置に近接するスロットから打つファースト・テンポバック・アタックも、それ自体が登場したのは意外に古くにさかのぼり、遅くとも1988年のソウル・オリンピックでオランダ男子ナショナル・チームのズヴェルヘル選手が披露しています。しかし当時はまだ、ブロック戦術としてはコミット・ブロックが主流であったため、時間差攻撃であるパイプ攻撃の方がアタック戦術として理にかなっており、パイプ攻撃が世界標準戦術となりました。

 ところが、1990年代後半にパンチ・リード・ブロック・システムに代表される組織的なリード・ブロック戦術が世界標準になると、パイプ攻撃に対しても2~3枚のブロック参加が可能となったため、アタック戦術もさらなる組織化の必要性に迫られました(ブロック・システム “バンチ・リード・ブロック” は世界最先端ではなく世界標準(詳細解説)参照)。そこに白羽の矢が立ったのが、既に個人技術としては確立しながら日の目を見なかった、ファースト・テンポバック・アタックでした。2000年代前半にブラジル男子ナショナル・チームが、セット・アップのタイミングを目安に踏み切り動作を行う狭義のファースト・テンポのバック・アタックを、「速攻おとりに入る前衛のアタッカーとは別のスロットから」繰り出すことで、組織的に対応してくる相手のブロッカー陣に対しても効果を発揮することを可能にしたのです。

 パイプ攻撃速攻おとりとした時間差攻撃であるのに対し、ビックは時間差攻撃ではなく、前衛のアタッカーと後衛のアタッカーが行うダブル・クイックと言えます。リード・ブロックが主流となって効果的でなくなったダブル・クイックであるにも関わらず、このアタック戦術が現在の世界トップ・レベルにおいても盛んに用いられる理由は、2人のアタッカー以外にもう2人別のアタッカーが、セッター位置から離れた両サイドのスロット位置(スロット5とスロットC)にファースト・テンポで助走に入ることで、4人のアタッカー陣が主導権を握るアタック戦術を繰り出すことが可能となり、組織化した相手のブロッカー陣3人に対しても「アタッカー4人対ブロッカー3人」という、数的優位性を作り出すことに成功したからです。


関連語ダブル・クイックパイプ攻撃