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[[カテゴリ:パス,レセプション&ディグ]]
 
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 選手同士が連係して動く場面にはすべて、フォーメーションが組まれています。サーブに対する[[固定項目:レセプション|レセプション]]のフォーメーション、そこから始まる攻撃としてのアタックのフォーメーション、相手からの攻撃に備えるブロックのフォーメーションと[[固定項目:ディグ|ディグ]]のフォーメーションなどは、すべてこの用語に含まれています。ここではフロア・ディフェンスとしてのレセプション・フォーメーションとディグ・フォーメーションを紹介します。
選手同士が連携して動く場面にはすべて、フォーメンションが組まれています。サーブに対するレセプションのフォーメーション、そこから始まる攻撃としてのアタックのフォーメーション、相手からの攻撃に備えるブロックのフォーメーションとディグのフォーメーションなどは、すべてこの用語に含まれています。ここではフロア・ディフェンスとしてのレセプション・フォーメンションとディグ・フォーメンションを紹介します。
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== レセプション・フォーメーション ==
 
== レセプション・フォーメーション ==
 6人制の場合、最も初歩的なレセプション・フォーメンションは「W型フォーメンション」です(図1の基本形)。この隊形はセッター以外の5人の選手が平等な立場で相手のサーブを受けるものであり、初級レベルのフォーメンションといえます。まだレセプション技術が未熟なチームが採用したり、基本的なポジショナル・フォールトのルールを覚えるのに適しています。ただし、W型フォーメンションの発展型として、守備を重視したものと攻撃を重視したものがあります。
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 6人制の場合、最も初歩的なレセプション・フォーメーションは「W型フォーメーション」です(図1の基本形)。この隊形はセッター以外の5人の選手が平等な立場で相手のサーブを受けるものであり、初級レベルのフォーメーションといえます。まだ[[固定項目:レセプション|レセプション]]技術が未熟なチームが採用したり、基本的な[[固定項目:ポジショナル・フォールト|ポジショナル・フォールト]]のルールを覚えるのに適しています。ただし、W型フォーメーションの発展型として、守備を重視したものと攻撃を重視したものがあります。
  
 守備重視としては、前列の3人と後列の2人の間隔を狭くして、強烈なジャンプ・サーブに対して誰が受けるのかという判断を早くするための「フェロウ」、前後だけでなく左右の感覚も狭くして、さらに判断を早めようとする「スモール・パッケージ」があります。いずれもコート隅に打ち込まれるサーブに対しては対応が難しいフォーメンションとなりますが、それよりも速いサーブへの対応を重視した、中級レベルまでの守備的なフォーメンションです。
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 守備重視としては、前列の3人と後列の2人の間隔を狭くして、強烈な[[固定項目:スパイク・サーブ|スパイク・サーブ]]に対して誰が受けるのかという判断を早くするための「フェロウ」、前後だけでなく左右の感覚も狭くして、さらに判断を早めようとする「スモール・パッケージ」があります。いずれもコート隅に打ち込まれるサーブに対しては対応が難しいフォーメーションとなりますが、それよりも速いサーブへの対応を重視した、中級レベルまでの守備的なフォーメーションです。
  
 一方、攻撃重視としては、レセプションの上手なプレーヤーの守備範囲を広くして、W型の外側にいるプレーヤーが攻撃に参加しやすい「スプリット」と呼ばれるフォーメンションがあります。2~4人による分業型レセプション・フォーメンションへの移行型ともいえます。さらに、チームのレベルが上がるにしたがい、レセプションをする人数を減らしていく傾向にあり、現在では2~4人がレセプションを担当する分業型が主流になりつつあります。特にリベロ制が導入されて以来、リベロをレセプションの要とした「分業型3人レセプション・フォーメンション」が世界トップ・レベルの主流となっています。
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 一方、攻撃重視としては、[[固定項目:レセプション|レセプション]]の上手なプレーヤーの守備範囲を広くして、W型の外側にいるプレーヤーが攻撃に参加しやすい「スプリット」と呼ばれるフォーメーションがあります。2~4人による分業型レセプション・フォーメーションへの移行型ともいえます。さらに、チームのレベルが上がるにしたがい、レセプションをする人数を減らしていく傾向にあり、現在では2~4人が[[固定項目:レセプション|レセプション]]を担当する分業型が主流となりつつあります。特に[[固定項目:リベロ・プレーヤー|リベロ]]制が導入されて以来、[[固定項目:リベロ・プレーヤー|リベロ]]を[[固定項目:レセプション|レセプション]]の要とした「分業型3人レセプション・フォーメーション」が世界トップ・レベルの主流となっています。
  
 
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== ディグ・フォーメーション ==
 
== ディグ・フォーメーション ==
ディグ・フォーメンションは、大きく分けて2種類あります(図2)。
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 ディグ・フォーメーションは、大きく分けて2種類あります(図2)。
  
 古典的と言われる「マン・アップ・フォーメンション」は“マン・アップ”と呼ばれるフェイント・カバー専門のディガーを、常にブロックの後ろでプレーさせます。しかし、フェイントには強いはずのこのフォーメンションですが、マン・アップはブロックの陰からボールを見ることになり、かえってフェイントを決められることが多々あります。そこで、マン・アップが最初から前にいるのではなく、セットされた瞬間にバック・プレーヤーの一人が前に飛び出してマン・アップとなるシステムが有効といわれています。しかしバレーボールのファースト・テンポ化、パワー化にともなって競技力が向上するにしたがい、マン・アップ・フォーメンションを採用するチームは減少しているのが現状です。
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 古典的と言われる「マン・アップ・フォーメーション」は〝マン・アップ〟と呼ばれるフェイント・[[固定項目:カバー|カバー]]専門の[[固定項目:ディガー|ディガー]]を、常にブロックの後ろでプレーさせます。しかし、[[固定項目:フェイント|フェイント]]には強いはずのこのフォーメーションですが、マン・アップはブロックの陰からボールを見ることになり、かえって[[固定項目:フェイント|フェイント]]を決められることが多々あります。そこで、マン・アップが最初から前にいるのではなく、セットされた瞬間にバック・プレーヤーの一人が前に飛び出してマン・アップとなるシステムが有効といわれています。しかしバレーボールの[[固定項目:ファースト・テンポ(テンポ1)|ファースト・テンポ]]化、パワー化にともなって競技力が向上するにしたがい、マン・アップ・フォーメーションを採用するチームは減少しているのが現状です。
  
 2つ目は最もポピュラーな「マン・ダウン・フォーメンション」です。このフォーメンションはさまざまな形で進化しており、その発展系としては次の3つが挙げられます。
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 2つ目は最もポピュラーな「マン・ダウン・フォーメーション」です。このフォーメーションはさまざまな形で進化しており、その発展系としては次の3つが挙げられます。
  
# '''ペリミター・フォーメンション'''  トップ・レベルではほとんどのチームが採用しているフォーメンションです。フェイント・カバー専門のプレーヤーを置かず、バック・プレーヤーがワン・タッチ・ボールを拾いやすい場所(特にはコートの外)に位置します。フェイント・カバーや中央に落ちる軟打はサイドのプレーヤーがダイビング・レシーブでカバーすると想定し、それよりも現代のパワー・バレーの即したワン・タッチ・ボールの処理を優先したフォーメンションです。ペリミター(perimeter)とは「周辺」の意味です。
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# '''ペリミター・フォーメーション'''  トップ・レベルではほとんどのチームが採用しているフォーメーションです。フェイント・[[固定項目:カバー|カバー]]専門のプレーヤーを置かず、バック・プレーヤーが[[固定項目:ワン・タッチ|ワン・タッチ]]・ボールを拾いやすい場所(特にはコートの外)に位置します。フェイント・[[固定項目:カバー|カバー]]や中央に落ちる軟打はサイドのプレーヤーが[[固定項目:ダイビング・レシーブ|ダイビング・レシーブ]]で[[固定項目:カバー|カバー]]すると想定し、それよりも現代のパワー・バレーの即した[[固定項目:ワン・タッチ|ワン・タッチ]]・ボールの処理を優先したフォーメーションです。ペリミター(perimeter)とは「周辺」の意味です。
# '''ボックス・フォーメーション'''  ディフェンス側のミドル・ブロッカーが強くて相手攻撃のクロス・コースを閉めやすいチームに適用されます。状況に応じてフェイント・ボールとワン・タッチ・ボールを拾うプレーヤーを変化させるフォーメーションです。たとえば、ストレート側のディガーがフェイント・カバーで前に移動すると同時に、センター・ディガーがその後ろに回り、さらにクロス側のディガーとクロス・アタッカーが後ろに下がる。すなわち4人のディガーが四角形を作って移動するため「ボックス」と名付けられました。
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# '''ボックス・フォーメーション'''  ディフェンス側のミドル・ブロッカーが強くて相手攻撃のクロス・コースを閉めやすいチームに適用されます。状況に応じて[[固定項目:フェイント|フェイント]]・ボールと[[固定項目:ワン・タッチ|ワン・タッチ]]・ボールを拾うプレーヤーを変化させるフォーメーションです。たとえば、ストレート側の[[固定項目:ディガー|ディガー]]がフェイント・[[固定項目:カバー|カバー]]で前に移動すると同時に、センター・[[固定項目:ディガー|ディガー]]がその後ろに回り、さらにクロス側の[[固定項目:ディガー|ディガー]]とクロス・アタッカーが後ろに下がる、すなわち4人の[[固定項目:ディガー|ディガー]]が四角形を作って移動するため「ボックス」と名付けられました。
# '''スライド・フォーメーション'''  ブロックに跳ばないフロント・プレーヤーがフェイント・ボールのディグに責任を持つために、ブロックの後ろへカバーに入ります。それにともない、クロス側のディガーが前に移動し、バック・センターがクロス方向に移動するという「スライド」が起こるためにこの名前がつきました。ディフェンス側のフロント・プレーヤーがデディケート・ブロックや3枚ブロックを試みようとして、ネットから下がっての強打ディグが困難なときに適用できます。
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# '''スライド・フォーメーション'''  ブロックに跳ばないフロント・プレーヤーが[[固定項目:フェイント|フェイント]]・ボールの[[固定項目:ディグ|ディグ]]に責任を持つために、ブロックの後ろへ[[固定項目:カバー|カバー]]に入ります。それにともない、クロス側の[[固定項目:ディガー|ディガー]]が前に移動し、バック・センターがクロス方向に移動するという「スライド」が起こるためにこの名前がつきました。ディフェンス側のフロント・プレーヤーが[[固定項目:デディケート・シフト|デディケート]]・ブロックや3枚ブロックを試みようとして、ネットから下がっての強打[[固定項目:ディグ|ディグ]]が困難なときに適用できます。
  
 
 それぞれのディグ・フォーメーションには長所と短所があるため、それらを組み合わせるなどして、自分たちのチームに最も適した(あるいは相手に合わせた)フォーメーションを工夫する必要があります。
 
 それぞれのディグ・フォーメーションには長所と短所があるため、それらを組み合わせるなどして、自分たちのチームに最も適した(あるいは相手に合わせた)フォーメーションを工夫する必要があります。

2014年9月23日 (火) 23:38時点における版

バレーボール用語

   フォーメーション    -- FORMATION --   




守備や攻撃における、あらかじめ決められた選手の並び方や動き方

 選手同士が連係して動く場面にはすべて、フォーメーションが組まれています。サーブに対するレセプションのフォーメーション、そこから始まる攻撃としてのアタックのフォーメーション、相手からの攻撃に備えるブロックのフォーメーションとディグのフォーメーションなどは、すべてこの用語に含まれています。ここではフロア・ディフェンスとしてのレセプション・フォーメーションとディグ・フォーメーションを紹介します。

レセプション・フォーメーション

 6人制の場合、最も初歩的なレセプション・フォーメーションは「W型フォーメーション」です(図1の基本形)。この隊形はセッター以外の5人の選手が平等な立場で相手のサーブを受けるものであり、初級レベルのフォーメーションといえます。まだレセプション技術が未熟なチームが採用したり、基本的なポジショナル・フォールトのルールを覚えるのに適しています。ただし、W型フォーメーションの発展型として、守備を重視したものと攻撃を重視したものがあります。

 守備重視としては、前列の3人と後列の2人の間隔を狭くして、強烈なスパイク・サーブに対して誰が受けるのかという判断を早くするための「フェロウ」、前後だけでなく左右の感覚も狭くして、さらに判断を早めようとする「スモール・パッケージ」があります。いずれもコート隅に打ち込まれるサーブに対しては対応が難しいフォーメーションとなりますが、それよりも速いサーブへの対応を重視した、中級レベルまでの守備的なフォーメーションです。

 一方、攻撃重視としては、レセプションの上手なプレーヤーの守備範囲を広くして、W型の外側にいるプレーヤーが攻撃に参加しやすい「スプリット」と呼ばれるフォーメーションがあります。2~4人による分業型レセプション・フォーメーションへの移行型ともいえます。さらに、チームのレベルが上がるにしたがい、レセプションをする人数を減らしていく傾向にあり、現在では2~4人がレセプションを担当する分業型が主流となりつつあります。特にリベロ制が導入されて以来、リベロレセプションの要とした「分業型3人レセプション・フォーメーション」が世界トップ・レベルの主流となっています。

Reception formation.png
図1 レセプション・フォーメーション

ディグ・フォーメーション

 ディグ・フォーメーションは、大きく分けて2種類あります(図2)。

 古典的と言われる「マン・アップ・フォーメーション」は〝マン・アップ〟と呼ばれるフェイント・カバー専門のディガーを、常にブロックの後ろでプレーさせます。しかし、フェイントには強いはずのこのフォーメーションですが、マン・アップはブロックの陰からボールを見ることになり、かえってフェイントを決められることが多々あります。そこで、マン・アップが最初から前にいるのではなく、セットされた瞬間にバック・プレーヤーの一人が前に飛び出してマン・アップとなるシステムが有効といわれています。しかしバレーボールのファースト・テンポ化、パワー化にともなって競技力が向上するにしたがい、マン・アップ・フォーメーションを採用するチームは減少しているのが現状です。

 2つ目は最もポピュラーな「マン・ダウン・フォーメーション」です。このフォーメーションはさまざまな形で進化しており、その発展系としては次の3つが挙げられます。

  1. ペリミター・フォーメーション  トップ・レベルではほとんどのチームが採用しているフォーメーションです。フェイント・カバー専門のプレーヤーを置かず、バック・プレーヤーがワン・タッチ・ボールを拾いやすい場所(特にはコートの外)に位置します。フェイント・カバーや中央に落ちる軟打はサイドのプレーヤーがダイビング・レシーブカバーすると想定し、それよりも現代のパワー・バレーの即したワン・タッチ・ボールの処理を優先したフォーメーションです。ペリミター(perimeter)とは「周辺」の意味です。
  2. ボックス・フォーメーション  ディフェンス側のミドル・ブロッカーが強くて相手攻撃のクロス・コースを閉めやすいチームに適用されます。状況に応じてフェイント・ボールとワン・タッチ・ボールを拾うプレーヤーを変化させるフォーメーションです。たとえば、ストレート側のディガーがフェイント・カバーで前に移動すると同時に、センター・ディガーがその後ろに回り、さらにクロス側のディガーとクロス・アタッカーが後ろに下がる、すなわち4人のディガーが四角形を作って移動するため「ボックス」と名付けられました。
  3. スライド・フォーメーション  ブロックに跳ばないフロント・プレーヤーがフェイント・ボールのディグに責任を持つために、ブロックの後ろへカバーに入ります。それにともない、クロス側のディガーが前に移動し、バック・センターがクロス方向に移動するという「スライド」が起こるためにこの名前がつきました。ディフェンス側のフロント・プレーヤーがデディケート・ブロックや3枚ブロックを試みようとして、ネットから下がっての強打ディグが困難なときに適用できます。

 それぞれのディグ・フォーメーションには長所と短所があるため、それらを組み合わせるなどして、自分たちのチームに最も適した(あるいは相手に合わせた)フォーメーションを工夫する必要があります。

Dig formation.png
図2 ディグ・フォーメーション


同義語:隊形